今年は残念ながら、人数不足のため大学チームでの参加は出来ませんでしたが、去年に引き続き医療班として参加させて頂きました。
昨年は気温が33℃を超え、スパイクの底が暑さで剥がれてしまうほどの暑さと湿度の中での大会でした。ほんとにヤバい暑さでした・・・。今年、天気予報では梅雨後半の暑さと強い雨が予想されておりましたが、決勝戦の短時間だけ豪雨とはなりましたが、2日間を通してほぼ曇り空をキープしフットボーラ―に自称晴れ男が多いことが証明されました!!
スポーツにケガは付きものですが、昨年は猛暑の影響もあり「運動不足」や「筋疲労」、「暑さ」や運動による「発汗」のための「電解質異常」が関係していると思われる、アキレス腱断裂や肉離れなどのケガが多く見られました。 今年は暑さがマシだったため、水分補給をする選手も少ないように感じましたが、それでも「電解質異常」が一因と考えられる肉離れやアキレス腱断裂などは比較的少なかったように感じました。(ケガをされた方には1日も早い回復を願っております。)
大会も回を重ねるにつれて、選手の皆さんも日頃からトレーニングをされている方も多くなり、雨も少なく比較的過ごしやすい気温の中で、プレイしやすい環境だったため選手たちのフットボール魂に火が付き、球際ギリギリのプレイが多くみられました。冬の大会ではニット帽など被られている方も多くいらっしゃいますが、夏の大会はほとんどの方が何も被らずにプレイをされています。その結果、接触による脳震盪が多くみられました。
ケガの種類には、時期(気温、天気)、日頃のトレーニングや筋肉メンテナンスなど、改めて色々な要素が関係しているのだと感じました。
以前も少しブログに書かせて頂きましたが、そもそも、どうして足がつる(筋痙攣)→肉離れ(アキレス腱断裂)を起こすのでしょうか?
病気などの直接的な原因がない場合、有力な要因の一つとされているのが「電解質異常」です。電解質とは、主にカルシウム、マグネシウム、ナトリウム、カリウムなど血液中にあるミネラルイオンのことで、これらのミネラルは、筋肉や神経の動きを調整する働きがあります。なんらかの原因でミネラルバランスが乱れると、筋肉の異常興奮(痙攣)が起こるのではないかと推測されています。
筋肉の動きにはさまざまなミネラルが関係しています。筋肉の収縮は、細胞内のカルシウムイオン濃度が上がることで起こります。同時に、体内にはカルシウムイオン濃度を調整する機能も働いていており、加齢や疲労、栄養不足などにより濃度調整機能が低下すると、筋肉の伸び縮みがうまく制御できなくなり、痙攣を起こしやすくなります。
私たちが日常生活で必要とするミネラルは、いずれもごく少量で、発汗や脱水症状など、ちょっとしたことでミネラルバランスの乱れが生じます。
中高年の場合、汗や尿と一緒にミネラルも排出されやすいので、気づかないうちにミネラルバランスを乱していることも多く、さらに運動時に筋肉を使うと、カルシウムやナトリウムなどのミネラルが急速に消費されます。筋肉(骨格筋)や腱には、伸縮を感知するセンサー(筋紡錘、腱紡錘)があります。これらは本来、脳と連携して筋肉の伸縮を制御していますが、疲労やミネラルバランスの乱れなどで誤作動を起こすことも一因と考えられています。そのため、そのまま運動を続けると、やがて筋肉疲労を起こし、足がつる(筋痙攣)可能性も高くなります。特に中高年になって運動を始めた(もしくは再開した)場合、自分では軽めの運動と思っていても、発汗や疲労などの影響で予想以上のミネラルが消費されている可能性があります。
「さあ!そろそろ身体を動かすか!」と大会直前になってから急遽サプリメントやクエン酸入りのスポーツドリンクなどを飲み始めても、身体は急には変わりません。少なくても大会の3ヶ月程前ぐらいからは運動を始めて、運動後にはスポーツドリンクと水、クエン酸などのサプリメントを採るようにして体質改善を図るようにすることが大切です。
また運動を再開する時、軽いランニングから始める方が多いと思います。ただ、競技によっては赤筋(遅筋)を多くう競技と、白筋(速筋)を多く使う競技とがあります。フラッグフットボールなどの瞬発系の競技では白筋の割合を多くするようなトレーニングが必要となります。まずは軽いランニングなどから身体を運動に慣れさせて、徐々にサイドステップなどのステップ練習やダッシュ、後ろ歩き&後ろダッシュ、ストップ&ゴー、坂道ダッシュなどその競技に合わせたトレーニングをされるのが良いと思います。特に運動から離れていると、走ることはできても急に止まることができません、止まる練習はとっても大切です!!白筋は加齢とともに減少することが分かっています。使わないから減るのか、加齢とともに生理的に減少してしますのかはまだはっきりとは分かっていません。なかにはとにかく運動(有酸素運動)をして、体重を絞ってという方もいらっしゃいますが、無理な減量では身体のコラーゲン繊維が減少してしまう場合もあり筋や腱が切れやすい状態になることもありますので、とにかく絞るなどの極端なトレーニングなどには特に注意してください。
また、運動後には出来るだけマッサージクリームなどで筋肉のケアをしてください。いつも固い筋肉では切れやすく肉離れのリスクがとても高くなります。普段は柔らかく柔軟性があり、力を入れると固くなる体操選手のような筋肉を目指して下さい。実際に肉離れやアキレス腱断裂をされている方の反対のふくらはぎは、筋繊維が固く柔軟性が低下している方が多くいらっしゃいます。
つぎに今大会で多かったのが脳震盪です。
脳震盪とは頭、顔、首、あるいはその他の身体部位へ推力が働き、その衝撃が頭部に伝わることで発生する脳障害の事です。
アメフトのようにプレイヤー間の接触が多いスポーツは長期的な神経障害、特に慢性外傷性脳損傷は最も注意したい脳症の1つで、脳への反復する障害が原因となり進行性の脳変性による脳症をきたすものです。脳震盪のような頭部外傷を繰り返すと、慢性外傷性脳症を発症する危険性が高まります。一旦発症すると徐々に進行して、記憶障害やめまい、うつ病や認知症、神経障害、パーキンソン病に似た症状が起こると言われています。しかしMRIやCTスキャンなどの脳画像には病変が写りにくいため診断がつきにくい病気です。死後、脳を解剖して初めてわかることが多いと言われています。
フラッグフットボールは、基本コンタクトをしないようなルール設定になっていますが、サッカーなどとは違い手でボールを取りに行くスポーツのため、頭部が接触する場面が多くあります。現役時代から考えて、高校→大学だと7年、社会人を含めると10年以上頭部に衝撃を受けていた方が多くいらっしゃいます。ルールとして頭部を守る防具などを必須とすることは難しいかも知れませんが、頭部を守るヘッドギア、ヘッドバンド、ヘッドガードなど様々なプロテクターが売られています。またマウスピースは顎と口周りへの衝撃を和らげ、歯の破損や、顎の骨折、口腔内外の軟部組織のケガ防止、脳震盪の予防に効果があります。またマウスピースを噛みしめる事で強い瞬発力を生みだし、集中力を高めるという効果も期待できます。(マウスピース作成については提携させて頂いている歯科医院をご紹介いたしますので、作成を検討されている方はご連絡ください。)もしものためのプロテクターを装着する選手が一人でも増えてくれることがケガの予防となり、アメフトOB,OG達に安全なスポーツとして認知され、その結果選手層の拡大にもつながり、ハドルボウルなどの大会が長く続いていくことになると思います。
長くなりましたが、今回の大会で医療班として感じたことを書かせて頂きました。
今後もケガの予防などについて、ブログなどで発信していきたいと思います。今後とも引き続きお付き合いいただければと思います。よろしくお願いいします。
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